九州不動産販売 blog

不動産屋が日々思いついたことを書き綴ります。

ほんとにこの家でいいんですか?

 人がその家の購入を決めるのにはそれなりに理由があるもので、お客様と話をする中で、動機、立地、環境、予算、現在の家族状況、ご要望などをお聞きして、この物件はこのお客様のニーズに合っている、だからこの物件を購入されるのだと、こちらも納得するところがあるのですが、以前、なぜ家を買うのか動機も理由も全くわからないお客様がいて、私一人勝手に困惑したというお話。

 そのお客様は70歳くらい、現在持ち家、子供さんも独り立ちしてご夫婦二人暮らし、今のお住まいはそんなに古い家でもなく管理状態も良い、一般的な広さの一戸建て…この現状で新たに家を買う必要ある?って感じです。それと家を買う時は、お客様からいろいろ質問があるのが普通ですし、現地案内を最低2~3回された後に購入を決められるのが普通ですが、このお客様に限っては質問らしきものもなく、一度内見しただけで、即決。ご同席されている御上品な奥様も反対のご様子はありません。さすがにこのまま話を進めて大丈夫かなぁと思ったので、ご主人様が中座された際にそれとなく奥様に、今住んでる家に何か問題でもがあるのかと探ってみましたが特にないご様子。ならば先々子供さんと一緒に暮らすための家ですかと尋ねたら、そういう予定もないとのこと。新しく家を買って、今のお住まいを売るのですか、それとも賃貸に出すのですかと聞いても、まだ何も決めていないとのこと。そして最も私を混乱させたのが、今まで夫婦間で家を買うような話を全くしていなかったということです。今回の話も、うちが出した売家の新聞広告をご主人様がたまたまご覧になって言い出したとのことでした。ますますわからなくなった私は、思い切って奥様に「○○様がこの家を買う理由がわからない」と正直に尋ねてみました。そして奥様の答えは、主人の好きにさせている、主人は言い出したら聞かないのでとのご返事…おそらく奥様も今更家を買うことに賛成しているわけではないのでしょうが…。それにしても、これが500万円位だったら奥様が了承することもあると思いますが、この物件は確か2000万円近くしたと思います。経済的に余裕があるのかもしれませんが、このお歳で家の購入に2000万円ってなかなかの出費です。

 まぁ奥様のご返事はそんな感じでしたが、ご夫婦にしかわからない事情があったのかもしれません。う~ん、しかしこのことは未だに記憶から消えません。それだけこういうお客様が稀有ってことです。やっぱり購入者様には、家を買う動機があって、かつこの物件を買うという理由があるのが普通ですから。どうやら私には、お客様がこの物件を購入される理由を知って納得したがる習性があるようです。